大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

和歌山地方裁判所 昭和43年(行ウ)2号 判決 1971年10月28日

原告 鬼怒川パシフィック株式会社

右代表者代表取締役 杉田泰造

<ほか七名>

補助参加人 美津濃株式会社

右代表者代表取締役 水野利八

<ほか一名>

右原告および参加人ら訴訟代理人弁護士 吉田元

同 栗田盛而

被告 和歌山県知事 大橋正雄

右訴訟代理人弁護士 岡崎赫生

右指定代理人 小西晋

<ほか五名>

主文

一、原告株式会社東京トップ、株式会社アンダーウォーター、株式会社チヒロ、ホープ株式会社、株式会社ミナミスポーツ、日本アクアラング株式会社の本件訴えを却下する。

二、原告鬼怒川パシフィック株式会社、田畑ゴム株式会社の請求を棄却する。

三、訴訟費用のうち、本訴費用は原告らの負担とし、参加によって生じた費用は補助参加人らの負担とする。

事実

第一、当事者が求めた裁判

一、原告ら

被告が、昭和四二年八月一〇日別紙目録記載の商品に対し、青第三〇七号をもって有害器具類と指定した処分を取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

との判決

二、被告

主文一、二項と同旨および訴訟費用は原告らの負担とする。

との判決

第二、当事者の主張

一、原告らの請求原因

(一)  原告らはいずれも、シュノーケル、水中マスク、泳脚等の水中スポーツ用品の製造、販売を業とする会社である。

(二)  被告は、昭和四二年八月一〇日和歌山県少年保護条例(昭和二六年同県条例四一号)八条一項にもとづき、原告らが製造または販売する別紙目録記載のシュノーケル、(以下本件シュノーケルという)を「有害器具類遊具」として指定した。

(三)  しかし、右指定処分(以下本件指定処分という)は次に述べるとおり違法である。

(1) 本件指定処分は指定理由を欠いている。

すなわち、本件指定処分の指定理由は「器具類の構造または機能が人体に危険をおよぼすおそれがあり、少年の健全な育成を阻害すると認められる」というだけで、具体的に本件シュノーケルの構造、機能のどのような点が人体に危険であるのか、まったく明らかにされていない。

したがって、本件指定処分は指定理由がないことに帰し、違法な処分である。

(2) 本件指定処分は指定物が特定されていない。

すなわち、本件指定処分は、シュノーケルの形状として「製作材料のいかんをとわず、同じ管、水中眼鏡を通じ、空気の吸入、排出がなされるもの」を有害器具類としており、各種シュノーケルの構造、機能につきこれを個別に検討することなく、一切のシュノーケルを無差別全面的に有害器具類に指定しているのであって、このような包括的、概括的な指定処分は違法である。

(3) 本件シュノーケルは有害器具ではない。

前記県条例によって有害器具として指定できる対象については、和歌山県少年保護条例による推奨指定および措置命令の認定基準(昭和四二年四月四日告示第二八〇号)四条一項に具体的に列挙されている。そして右基準によれば、どのような器具であれ、その主観的な使用方法いかんにかかわらず、その物自体の形状物理的な構造、機能に着目して客観的に有害危険性を認定すべきものとされている。ところが、本件シュノーケルそのものの構造、機能は人体に危険をおよぼすおそれはないし、その使用方法も簡単であり、これを使用した場合の医学的、生理学的な面からの危険性も認められず、どのような点においても右県条例および右認定基準にいう有害物には該当しないだけでなく、シュノーケルの使用を原因とする水死事故も発生していない。

したがって、本件シュノーケルを有害器具とした本件指定処分は違法である。

(四)  そこで、原告らは被告に対し異議の申立てをしたが、被告は昭和四二年一二月一六日右申立てを棄却し、同月二〇日原告らに通知した。

(五)  そこで、原告らは被告がした本件指定処分の取消しを求める。

二、本案前の抗弁および請求原因事実に対する答弁

(本案前の抗弁)

被告は、昭和四二年八月一〇日に本件指定処分をし、同月一五日付和歌山県報に告示第六七八号をもってその旨登載公示したから、原告らのうち原告株式会社東京トップ、株式会社アンダーウォーター、株式会社チヒロ、ホープ株式会社、株式会社ミナミスポーツ、日本アクアラング株式会社の右指定処分の取消しを求める本件訴えは、三か月の出訴期間を経過したのちに提起されたものであって不適法である。

(答弁)

(一) 請求原因(一)、(二)項の事実は認める。

(二) 同(三)項の(1)の事実のうち、本件指定処分の指定理由が原告ら主張のとおりであることは認めるが、その他は争う。

同(2)の事実のうち、シュノーケルの形状につき原告ら主張のとおり指定したことは認めるが、その他は争う。

同(3)の主張は争う。

(三) 請求原因(四)項の事実のうち、原告鬼怒川パシフィック株式会社、田畑ゴム株式会社が被告に対し異議の申立てをし、被告が昭和四二年一二月一六日右申立てを棄却して同月二〇日その旨通知したことは認めるが、右以外の原告らから異議の申立てはなかった。

三、被告の主張

(一)  シュノーケルは、水面下の潜水者と水面上を一本の管で結ぶことによって、水面下の潜水者が水中で呼吸することができるようにした器具である。

(二)  これを人体に装着し、水中で使用すると次のような危険がある。

(1) 構造上の危険について

シュノーケルを用いて呼吸した場合、マウスピースから球弁までの容積が呼吸死腔として生体固有の呼吸死腔量に加算され、呼吸回数とともに増加されて必然的に低酸素症および炭酸ガス蓄積症ならびにこれにともなう呼吸性あるいは代謝性アチドーシスの発症が考えられる。

水中に深くもぐった際、シュノーケルの中に水がはいり、大きく息を吸うことによって気管まで直接右の水がはいって苦しくなる。

マウスピースのかみぐあいで口から水がはいり、また強くかむとゴムが曲って横から水がはいってくる。

(2) 少年の使用上の危険について

遊泳能力とくに立泳ぎの能力がじゅうぶんある者にだけシュノーケルの完全な使用が可能である。

器具を着用して入水するときは、水面に対してパイプが垂直に近くなるようにし、かつ動作は徐々に行なわないといけない。急に入水すると水がはいってくることがあり、実際の遊泳中にこのような動作は無理である。

(三)  昭和四二年七月一五日と同年八月七日に、和歌山県下で、シュノーケルを使用した少年が溺死した。右事故は、前記のようなシュノーケルの帯びる構造上あるいは使用上の危険性に起因して生じたものではないかとの疑いがある。

(四)  そこで、被告は同年八月一〇日青少年の健全な育成という見地から、同県少年保護条例八条一項にもとづき、市販されているシュノーケルのうち、吸気管・排気管が別個に装置されているもの(一本の管の中途または口元の部分で弁をとりつけ、弁の作用によって吸入の際は排口を塞ぎ、排気の際は入口を塞ぐ構造のもの)を除き、空気の吸入・排出が一本の管でされるシュノーケル(吸入口と排気口が同一場所か、すくなくともこれと同視できるもの)について有害器具類と指定したのであって、本件指定処分は適法である。

四、被告の主張に対する原告らの答弁

被告の主張事実は全部争う。

シュノーケルは、水平面上に浮上中、顔を水につけたまま呼吸するための用具であって、潜水したときに使用するものではない。

シュノーケルの機械的死腔が増大することによって、呼吸数、脈搏が多くなり呼吸調節機能が働くから、内容積が一〇〇ないし二〇〇立方センチメートルくらいのシュノーケルは弊害がない。

また、警察庁における調査によってもシュノーケルと水死事故との因果関係は明確でないとされているし、昭和四二年六月から八月までの間に二、二〇〇名以上の水死者が発表されているが、シュノーケルが原因で水死したとの断定は数理統計上も考えられないのであって、シュノーケルと水死事故とはまったく関係がないというべきである。

シュノーケルは、本来、潜水スポーツ用品として製作されたものであり、青少年の身心の健全な育成に寄与こそすれ、危険なものではない。有害器具の認定にあたっては、有害面だけでなくその器具の有用性の面をも考慮し、両者の関連において判定するのが相当である。本件指定処分は、潜水スポーツ、その用具についての無理解ないしは認識不足にもとづくものだというべきである。

第三、証拠関係≪省略≫

理由

一、請求原因(一)項(原告らの地位)と(二)項(本件指定処分の存在)の事実および原告鬼怒川パシフィック株式会社、田畑ゴム株式会社が本件指定処分について被告に対し異議の申立てをし、被告が昭和四二年一二月一六日右申立てを棄却して同月二〇日その旨通知したことは当事者間に争いがない。

≪証拠省略≫によれば、同年八月一五日付和歌山県報に告示第六七八号をもって本件指定処分が登載公示されたことが認められる。他方、本件記録によると原告らから本件訴えが提起されたのは昭和四三年三月一九日であることが明白である。そして、後記のような本件指定処分の性質からすると、右のように本件指定処分が右県報に適法に公示された以上、関係人は、一様に本件指定処分がなされたことを知ったものと推認すべきである。

そうすると、原告らのうち、鬼怒川パシフィック株式会社と田畑ゴム株式会社の本件訴えは三か月の出訴期間(行訴法一四条)内に提起されたものであって適法であるが、その他の原告らの訴えは右出訴期間を経過したのちのものである(出訴期間の起算日について特別の事情の主張・立証がない)から不適法である(本件指定処分は、不特定・多数人に関するいわゆる一般処分としての性質を有するものと解されるが和歌山県少年保護条例八条三項によると、本件指定処分の結果、本件指定商品の販売を業とする者は、これを少年に販売することを禁止され、営業の自由に制約を加えられることになる。したがって、本件指定処分も抗告訴訟の対象としての「処分」にあたると考えるのが相当であり、右商品の販売を業とする原告らの当事者適格も肯定すべきである。

そこで、本件指定処分の右のような性質との関係で、原告らのうちの一人について出訴期間が遵守されていれば、他の原告らの訴えも適法なものとして取り扱うことができるのではないか、との疑問がないではない。しかし、抗告訴訟について右のような規定がないだけでなく、取消判決は第三者に対しても効力を有する(行訴法三二条一項)のであるから、特に不合理な結果をまねくこともないと考えられる。

したがって、出訴期間の遵守については、前記のとおり、個々の原告ごとに考えるべきである。)。

二、そこで、次に原告鬼怒川パシフィック株式会社、田畑ゴム株式会社との関係で、本件指定処分の適否について検討する。

(一)(指定理由について)

本件指定処分の指定理由が原告ら主張のとおりであることは当事者間に争いがない。

原告らは、右理由だけでは指定理由がないのと同じで違法である、と主張する。

なるほど、和歌山県少年保護条例施行規則によれば、本件のような指定処分の公示は、指定事項および指定年月日ならびに「指定の理由」を和歌山県報に登載して行なうものとされている(二条)から、本件指定処分にも理由を付ける必要があると解される。

しかし、本件指定処分は、前記一、で説明したように一般処分としての性質を有するものであるから、特定の個人を名宛人としてされる行政処分とは異り、必ずしも詳細な理由を付するまでの必要はない。

そして、処分理由の有無やその内容のいかんについては、処分書の理由欄だけでなく、他の記載と相まって法規の要請する程度の理由付記になっているかどうかを総合的に判定するのが相当であると解されるところ、前掲乙一三号証(昭和四二年八月一五日付和歌山県報)によれば、本件指定処分の公示として形状欄には「製作材料のいかんをとわず、同じ管、水中眼鏡を通じ、空気の吸入、排出がなされるもの」との記載があり(この点は当事者間に争いがない)、指定理由欄には原告ら主張の前記記載が付されていることが認められ、右指定理由欄の記載を右形状欄の記載と総合して検討するとき、本件指定理由の記載にはやや具体性に欠ける点もないではないが、なおこれをもって処分の形式的要件としての理由の記載に欠け、したがって本件指定処分が違法であるとまで認めることはできない。

したがって、原告らの右主張も採用できない。

(二)(指定物の特定について)

本件指定処分でシュノーケルの形状が「製作材料のいかんをとわず、同じ管、水中眼鏡を通じ、空気の吸入、排出がなされるもの」とされたことは当事者間に争いがない。

右事実によれば、本件指定処分の対象となるシュノーケルの範囲は右のような形状のもの全部であることが明らかであり、指定物の特定に欠けるところはないというべきである。

したがって、右のような指定が許されない、との原告らの主張も理由がない。

(三)(シュノーケルの有害性について)

(1)  ≪証拠省略≫を総合すると次の事実が認められる。

(イ) シュノーケルは、遊泳者が水平面上に浮上中、顔を水につけたまま呼吸するための用具であり、シュノーケルの全部分が水中に没した状態で潜水者がこれにより呼吸しようとするものではない。

(ロ) 本件指定処分当時販売されていたシュノーケルは次のようなものである。

(ピンポン玉付シュノーケル)

別紙図面(1)のように、シュノーケルの先端の空気の吸入口にピンポン玉と同様の球体をとりつけたものである。

(シュノーケル付マスク)

別紙図面(2)のように、シュノーケルの下端にマスクをつけたものである。

(ストレート)

別紙図面(3)のようにステッキ型の単純な一本の管である。

以上三種類のシュノーケルの管の部分は、いずれも長さ三五ないし五〇センチメートル、内径一〇ないし二五ミリメートル、内容積五〇ないし一八〇立方センチメートルである。

(ハ) 遊泳者がこれを装着して呼吸した場合、シュノーケルの管の内容積(シュノーケル付マスクについてはマスク部分の内容積も)が呼吸死腔量(吸気のうち、肺に達してガス交換に供される分を除いたもの)として生体固有の死腔量に加算され、死腔量は増加する。このようなシュノーケルなどの器具自体がもつ器械的死腔が大であればあるほど、一度はき出された呼気をより多く再び吸いこむことにより、それは呼吸回数とともに増加する。しかし、通常は人体の呼吸調節機構が作用して換気量(呼吸量)がするため、吸気中の炭酸ガス量の酸素量に対する比率は正常に維持されることになる。ところが、換気量の増加は最大換気量(一五秒間の最大限の呼吸量を四倍した値)が限度であるから、器械的死腔の付加が大になると、炭酸ガス量が増加し酸素量は減少する。

ところで、運動時には安静時に比べて酸素の必要量および炭酸ガスの排出量が増加するから換気量も増加する。したがって、シュノーケルの装着による器械的死腔の付加は、安静時よりも運動時の方がより大きく人体に悪影響を及ぼすことになる。

そして、炭酸ガスの増加、酸素の欠乏は低酸素症、炭酸ガス蓄積症、呼吸性あるいは代謝性アチドーシスの発症のおそれがあるだけでなく、心臓の被刺激性がたかまり、水の誤飲などわずかな刺激で咽頭部が刺激されて心停止(いわゆる心臓麻痺)をひきおこしやすくなる可能性もある。

以上の理は、シュノーケルを成人が使用した場合と未成年者が使用した場合とで本質的な差はないが、生体固有の死腔量(通常は体重一キログラムにつき二・二ミリリットル)などに基づく量的な差異がある。

人体にシュノーケルなどの器械的死腔を付加した場合の安全性ないし危険性の限界については、いまだ実証的に解明されていない。

(ニ) ピンポン玉付シュノーケルは、シュノーケルの先端の空気の吸入口にとりつけたピンポン玉を防水弁として作用させるものである。

しかし、シュノーケルが水面に対し三〇ないし五〇度傾斜すれば、ピンポン玉がシュノーケルの先端からはずれて、水がシュノーケルの中にはいってくる。その際大きく息を吸うことによって気管まで直接右の水がはいって苦しくなることがある。

また、吸気によって、ピンポン玉がシュノーケル先端の空気の吸入口に付着したまま離れなくなることがあり、そのため呼吸が困難になる。

(2)  以上の事実が認められるところ、本件証拠の中には右認定と異なるものもあるので、これについて検討する。

まず、甲一号証(「スノーケルの人体に及ぼす影響」と題する書面)中には、シュノーケル装用の人体へ及ぼす影響について、成人男子三名を対象にして実験した結果に関し、「スノーケルの装用による人体への影響、とくに換気面より見た呼吸生理学的意義については、通常の運動負荷時の換気量と同じことから推測して、それ以上のスノーケル装用による特別の影響はないものと考えられた。」との記載がある。そして、右結論を導き出す前提としての「スノーケルのマウスピースの部分から呼気終末時の呼気サンプルを採取、ショランダー微量ガス分析装置を用いて、呼気酸素濃度および炭酸ガス濃度を求めた。」結果は、「酸素摂取量及び炭酸ガス排出量が異常に増加しているという積極的証明も得られなかった。」と記載されている。

しかし、右書面には右呼気サンプルの分析結果に関する具体的な数値等その推論の根拠となる事項の記載はまったくない。そして、右書面の作成者である証人中山英明の証言によれば、「終末時の呼気サンプルを取ることは非常なテクニックを要し、しかも運動時のものを取ることはかなりの困難を伴うため、実験成績もばらつきがあり、いわゆる終末呼気よりも以前に取ったものではないかと考えられるような分析結果もかなりあった」というのである。したがって、右分析結果の結論は容易に採用しがたい。

しかも、≪証拠省略≫によれば、右のような実験をする場合、動脈血中の炭酸ガスの量を測定する必要があるものと認められるところ、右実験にあたって、このような測定がされたものとも考えられない。

そうすると、右書面の前記記載はただちに採用することができないというべきである。

次に、甲八号証(証人調書)には前記認定と異なる記載部分があり、また証人中山英明の証言中にも右認定と異なる部分があるが、右はいずれも(1)項冒頭掲記の各証拠と比較してただちに採用することができない。

そして、他に前記認定を動かすだけの適確な証拠はない。

(3)  ≪証拠省略≫によれば、昭和四二年七月一五日と同年八月七日に、和歌山県下で、シュノーケルを使用した少年が溺死したことが認められるが、本件全証拠によっても右死亡が直接シュノーケルを使用したことによるものであるとまで認定することは困難である。

(四)  (むすび)

和歌山県少年保護条例八条一項による有害器具類の指定は、少年の不良化を防止し、その健全な保護育成を図るため、教育的・後見的見地からなされるべき裁量行為であると解すべきである。そして、右の趣旨に徴すると、同条項にいう「器具類の構造又は機能が人体に危害を及ぼす虞れがあるとき」とは、器具類の材質・仕組等の客観的な構造上の危険性、その器具類が本来有する物理的・化学的作用等の機能上の危険性はもとより、広くこれらの器具類を少年の所持・使用に供する場合懸念されるべき人体に対する危険性がある場合をも包含するものと解するのが相当である。

右のような観点からすると、前記認定のように、本件シュノーケルについては、その構造・機能上の危険性およびその使用上の問題点が存することを否定しがたく(本件全証拠によっても、本件シュノーケルを少年の自由な所持にゆだねてもまったく問題がなく無害であるとは認めがたい)原告のいう潜水スポーツ用品としての有用性の面を斟酌しても、なお、本件シュノーケルはその構造ないし機能が人体に危害を及ぼすおそれがあり、これを少年に所持させることはその健全な育成を阻害することになると認めざるをえない。

したがって、他に違法な点があるとも認められない本件においては、本件指定処分は結局適法であるというべきである。

三、そうすると、原告鬼怒川パシフィック株式会社、田畑ゴム株式会社の本訴請求は理由がないから棄却することにし、その他の原告らの本件訴えは不適法であるからいずれも却下することにし、訴訟費用の負担については民訴法八九条、九四条にしたがい、主文のとおり判決する(なお、参加人美津濃株式会社、株式会社エバニューの参加申出に対し、弁論更新前の裁判所はこれを行訴法二二条による参加として取り扱ったのではないかと考えられないでもない。しかし、右参加人らは原告らを補助するため参加の申出をしたものであることは参加申出書の記載上明白であるし、同申出書によれば、右参加人らは原告らと利害を共通にするものであることも明らかであって、行訴法二二条の訴訟の結果により権利を害される第三者として取り扱うには疑問がある。そこで、右参加人らの取り扱いについて検討するに、当裁判所は行訴法のもとにおいても民訴法六四条による補助参加は許されると解するところ、第六回口頭弁論期日に裁判所がした参加許可決定も、必ずしも行訴法二二条にもとづく参加の許可であると考えなければならないこともないし、むしろ前記参加人らは、これを補助参加人として取り扱うのが本件事案ならびに手続形成上適当であると解されるから、前記表示のとおり当裁判所は右参加人らを原告らの補助参加人として取り扱った次第である。)。

(裁判長裁判官 諸富吉嗣 裁判官 住田金夫 喜久本朝正)

<以下省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例